民事再生の計画を知ってしまった・・・。

民事再生は、事前に計画を知ることになります

当時、工場長だった私は、民事再生申請のおよそ2か月前に、親会社の役員から、その計画を聞かされました。もちろん、その計画は、決して誰にも話してはいけないことです。
なぜなら、そんなことが事前にバレたら、誰も取引してくれなくなります。

民事再生になると知りながらがら、仕入れ先と取引することになります

特に、仕入れ先は、代金が支払われなくなるということが分かりながら、資材を納入したり、外注として仕事を請け負ったりしてくれるはずが有りません。
そうなったら、お客様から注文を受けた製品を作ることができなくなります。注文が無くなれば、お金が入ってきませんから、民事再生どころではなく、一気に破産への道をまっしぐら、ということになってしまいます。

結局、ずるいようですが、仕入れ先や外注先には、民事再生になることを隠しながらお付き合いすることになるんです。

それでも、民事再生なら、会社は事業を継続できますから、従業員が働き続けられますが、破産してしまったら、従業員は仕事を失うことになります。

 

私の勤務先は、電子部品の製造工場でした。カタログに載っているような、いろいろな会社が共通で使える部品ではなく、お客様から図面などをもらって、その仕様で個別に製造するものでした。
ですから、仮に民事再生になっても、お客様がすぐに同じものを他から買うということは、ちょっと難しいということになります。

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お客様からの注文は、仕様も納期もまちまちです。時には短納期で、どうしても外注先に無理をしてもらわなくてはならないケースも発生します。
そんな時、工場長だった私は、外注先に残業や休日出勤をしてもらいながら、この代金はどれくらい払われるか分からないのに、と考えると、とても心が苦しかったですね。

民事再生になったら、どれくらい支払われるのだろうと考えました

私自身、当時は民事再生に関する知識が乏しく、仕入れ先に、代金のうちのどれくらいの割合が支払われるか分かりませんでしたが、それでも、決して100%ではなく、10パーセントとか20パーセントくらいの支払いになるのだろうということは、想像がつきました。

 

私の毎日は、自分の生活がどうなるのだろうというドキドキから、いろんなことを考える苦しさに変わっていきました。